Scene.9 素敵な風が吹いてきた。
高円寺文庫センター物語⑨
本屋のなにが楽しいって、それは本との出会い。そして、本を介した人との出逢い。
これだから、本屋は最高! なのさ。
ボクら流に言えば、ロッケンロォール♪楽しくなきゃ仕事じゃないし、仕事を楽しんでなきゃ、お客さんや出版社の皆さんなどに伝わるわけがない! ROCKな本屋の魂はこれだぜ、イェイ♪
ボクの自宅近くに、屋形船の「あみ達」さんがある。ちょっとしたコネでサービスしてもらって、20人オーバーで貸切りゲゲゲの屋形船!
いつもはインドアの居酒屋飲み会だから、たまには飛び出してアウトドアで遊ぼう企画。
女子は浴衣を着てくれば割引だよって、屋形船情緒を盛り上げ作戦。あとは、集合時間に一之江駅に来てくれるかだよ~屋形船の出港時間が決まっているからね。
残業なんて当たり前の出版界、居酒屋での飲み会でさえ時間厳守は難しいから3時間コースを何時からスタートするかが設定しにくい。なので、日曜日なら大丈夫ということで!
無事にみんな揃い、屋形船は岸を離れて一路東京湾へ・・・・
「みなさん、今日はゲゲゲの屋形船にご参加をありがとうございます!天麩羅がどんどん出てくる食べ放題と、カラオケも楽しんじゃいましょうね」
ボクは駅と桟橋の往復に備えて自転車だから、Tシャツに短パンだけど、りえ蔵とさわっちょは浴衣で決めてきた。
「店長、川風が気持ちいいですね」
「なんで、ゲゲゲの屋形船なんですか?」
「ボクが水木しげる先生の大ファンなんで、なんにでもゲゲゲって付けちゃうの」
「天麩羅の食べ放題って、食べきれないからタッパを持ってきちゃった」
「店長、全員の紹介して下さいよ。宝島社の女の子が浴衣でいいですね」
「あ! 誰か、シャツを脱いで踊り出したぁ~」
「店長、誰かさんが欄干にもたれかかって船酔いみたい」
「キャー、魚が飛び込んできた! トビウオなの?」
「掴んで天麩羅にしちゃえば!」
やがて屋形船は、ディズニーランド沖に停泊して8時半の花火をタダ見。やれやれ、その間に天麩羅を食べよう。
「店長、青林堂の手塚さんから電話ですよ」
「わお! イベント要請の種まき成功かなぁ~よく、ミレー!」
ケケケ! みんなの視線が集まったぜい!